知彼知己 百戦不殆
2000年以上も前の孫子の言葉“彼を知り己を知らば百戦危からず”この意味は「相手と自分の長所短所を見極めて事を処すれば、どのような場合でも失敗することはない」ということです。私たちは生きている限り多くの困難な場面に直面します。目の前に現れた障害物を乗り越えるために、強くありたいと考え、その方法の一つとして空手の道を志した人もおられるのではないでしょうか。空手の試合に一つでも多く勝つためには、試合のビデオなどを良く見て研究し、相手の弱点を知り自分の特徴を知る。そして、相手の弱い所と自分の強い所を当てれば、負けることは無いということです。
孫子はさらに続けます“百戦百勝は善の善なるものに非ざるなり、戦わずして人の兵を屈するが善の善なるものなり”つまり、相手を打ち負かし勝つことばかりが最良ではない、戦わずして勝利することが最良なのだと教えてくれているのです。
“天下無敵に強くなりたい”と考えて空手の門を叩いた貴方、天下無敵とは全ての人に勝つことではありません。世の中には上には上がいますし、全ての人に打ち勝つことなどとうていできません。天下無敵とは自分の周りに敵がいなくなること、つまり、敵を作らないということです。
空手の組手試合で、アメンボウが水の上をスーイ・スイと軽やかに動き廻っているようなフットワークをする選手を見かけたことがあります。彼は相手を敵とせず伴に波に乗るように動き廻り体を捌き、そして、いつの間にか勝を占めていました、彼のこの動きこそ天下無敵ではなかったのでしょうか。
崇城大学教授
崇城大学空手道部総監督 山内洋一
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